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  • 映画「君が君で君だ」公開中!主演:池松壮亮×監督:松居大悟、インタビュー

    好きな女性のために、彼女の好きなもの=尾崎豊、ブラピ、竜馬になりきり、10年!!自分の名前すら捨てた男3人の超純愛エンターテイメント作が登場。
    原作、脚本も手がけた監督:松居大悟さんと、尾崎豊になりきった池松壮亮さんに、作品について伺いました。

     
    ―すごく愛について考える機会になった、すごく楽しめる作品でした。設定自体がすごく面白くて、着想はどういったところからうまれてきたものなのですか?

    監督:2011年に舞台をやったものをもとに、映画を作ったんです。その舞台をやっていたときが逆に一番辛い時で。その年は劇団がうまくいかなかったりとかして、何も信用できなくなって、そんなときに恋愛ドラマとか恋愛映画とかで描かれる、告白して、思いを伝えて、振り返ってくれて、くっついたりするとか、それが正しいというか、恋愛そのもののあり方が、思いを伝えて両思いになったりするのが正しい形であるということに違和感というか、腹たってきて、思いを伝えずにいることが悪いことになっていることが。僕はすごい思いは強ければ強いほど伝えられなかったりすることもあると思っていて、だから誰かを思ったりすることそのものを描きたいなと思ったんです。すごく離れ離れで向日葵と太陽みたい…。向日葵って太陽を見続けて成長したりするけど、別に2つはくっつかないし、交わらないし、そういう関係性が描けないかなっていうので着想というか、きっかけでしたね。それでもう、自己犠牲というか自分自身を捨てて、その彼女の好きな人になるみたいなのが、なんとなく究極のところだなと思って、自分を捨てるという形が自己犠牲だなっていうふうに作っていった感じです。

     

    ―実際に映画化に踏み切ったのは?

    監督:そうですね。2011年に舞台やったあとに映画だったりミュージックビデオの仕事をしたり、2015年頃にプロデューサーの阿部さんに、あれを映画にしてみないかといってもらって。こんなことを商業映画で挑戦していいのかなって思ってたけど、自分にとって強いオリジナリティという意味ではすごく自分らしい作品だし、すごく大切な作品だし、当時はすごく頭でっかちで誰の話も耳に入らないという感じだったんですけど。色んな人の話を聞きながら、今ならこの作品を育てられるって思って、挑戦ました。

     

    ―作中では尾崎豊、ブラピ、坂本龍馬になりきる男がでますが、池松さんに尾崎豊をお願いしたのは?

    監督:尾崎豊さんは、僕が中学のときにはすでに亡くなられていたんですけど、すごく自信がなくってあんまり学校もいけず、鬱屈としてたときに、尾崎さんの曲を聞いたら何でもできるような無敵な感じになりました。すごく背中をバンバン叩かれるような存在で、“尾崎豊”という存在にずっと憧れだったんです。この作品を描こうとした時、“究極の存在”って自分にとっての尾崎豊だったので、真ん中は尾崎豊だなって思ったんです。池松くんは福岡から上京してきたときから、ラジオドラマだったりとか、舞台やったりミュージックビデオやったりとかで、結構長く付き合っています。実はすごく前のある舞台で、池松くんが主演、僕が演出で、愛というものに挑戦してその時は敗北をしたような気がしていたので、俳優池松壮亮と一緒に闘うため、真ん中にいてほしかったんです。

     

    ―まさにその、究極的な演技というか、お芝居というかそこを求められたのが池松さんの演技になると思うんですけど、いろんな役をやられてきた中で、今回の役。ご自身でこの役と向き合うにあたって考えたことはありますか?

    池松:監督が言われたテーマを共有しながらも、少なくとも自分がそこに同調できるかといったらそうでもないし、なにか大きなことを話した記憶はあんまりないですね。選択とかは、日々調整しながらやりましたけど大きくはそんなにですね。

     

    ―池松さんは尾崎をやってほしいというオファーに対して、どういう気持で尾崎になりきる男を演じようと思われましたか?

    池松:僕、尾崎豊の映画だと思っていたんですよ。蓋開けたら全然違いました(笑)。尾崎豊の曲は父親の影響ですごく聞いていたので。たまたまですけど、僕が物心ついて初めて歌詞も見ずに歌えるようになったのは「僕が僕であるために」っていう曲でした。僕は90年生まれで、あの方は92年に亡くなっているんので、2年しか関わってないんですけど。何かいつの間にかあの方が残した表現が自分の中に染み付いて、何か生きる自信みたいなものが、人としてあるべき姿を学んだような気分だったんです。松居監督とは色んな作品に挑戦してきました。今回オリジナル作品をやるにあたって、今、日本でオリジナル作品をやるってものすごく難しいことなんですよ。その中で、松居監督の姿をみてやっぱり賛同したいなという気持ちと、尾崎豊を汚されたくないなという気持ちがあり、出演しました。

     

    ―好きな人が好きなものになるという役ですが、なりきる男をどう解釈されました?

    池松:尾崎豊って言う人の名前を借りているだけで、結局自分が好きな人になったというわけでもなければ、好きな人が好きな人になるわけですから、意外と距離があって。ただ、名前とかあの方が遺した歌をお借りするわけですから、例えば、この映画を天国から尾崎豊が見て、笑いながら応援してくれるような作品にしなければいけないとは思っていたので、尾崎豊っていう人からは離れすぎず、そして松居監督がやろうとしている今回の核と言うみたいなものを、常に意識しつつ、あとはもうとにかく生の感情をおさえていけば、なんとかなるかなと思いました。

     

    ―2人はあそこまで一生懸命好きになることってありますか?

    池松:先日の完成試写会をしたときに、松居監督はリコーダーをなめたことがあるっていうのが話題になってましたよね(笑)。

      

    監督:僕は舐めたことはないんですけど、好きな人の机を撫でたことは・・・。リコーダーを舐めるって、結構労力がいるじゃないですか。人の目とか、開けてとか、罪悪感も在るだろうし。机だったら、ちょっと通りがかりにこう(笑)。

     

    ―池松さんのイメージだと、女子に一生懸命ということはあんまりなさそうですね?

    池松:僕は、ないですねえ。願望もないんですけどね。願望もないんですけど、人を想うっていろんな形があって。人類は21世紀なのに誰かを愛するっていうとこに答えを出しているかというと、おそらく出してなくて。例えば、尾崎豊の「僕が僕であるために」という歌詞で「こんなに君を好きなのに明日さえ教えてあげられない」っていうふうにあの方は歌っていますけど、本当にその通りで。人は永遠っていうものを平気で口にしたり、好きとか愛するということを平気で口にしたりするけれども、じゃあ何が本当なのか。この映画の3人を見たときに、果たして人はそこまで自分の人生をかけて、人を何か自分のあり方で愛することが出来ているかというと、ほとんどの人が出来てないと思うんですよね。僕も出来ない側ですし、だからこそ、その何か惹かれるものがあると思います。

    監督:僕は、優しさって人にバレたら優しさじゃないと思うんですね。それってただの優しさの押しつけであり、好きっていうのも人に伝えた時点で、そのエゴみたいな気がします。好きって伝えるって、ただ自分が好きだからそれを伝えてるだけで、相手のことを本当に思ったら「その気持ちなんて押し殺せよ」って、僕は思ってしまう癖があって・・・。

     

    ―尾崎豊を演じられた池松さん、池松さんが演じた尾崎豊は監督から見てどうでしたか?

    監督:僕はなりきれなさを撮りたかったのがあって。だからこそ、尾崎豊とブラット・ピットと坂本龍馬にしたんです。尾崎豊役ではないので、なれなければ、なれないほど、彼女との距離を感じるような気がして。だから、絶対なれない人っていうものでこういう役を思ったんです。僕は映画『アイスと雨音』とドラマ『バイプレイヤーズ』で、役者本人に本人役っていうのを結構やっていたんです。それは遠藤憲一さんが遠藤憲一役を演じるということによって、ドラマを超えて何かすごい説得力をもたせる事ができるという面白さがあるなって思ったときに、その逆で、何かの役になろうとするんだけれども、絶対になれないっていうとこの人間らしさとか、そういうところをすごく意識的にしました。どこまで尾崎豊にするか、どこまでブラット・ピットにするかとかは本当にコミュニケーションしていなくて。基本的に本人の心意気とともに行ったんですけれども、そういう距離感がすごく良かったですね。

     

    ―坂本龍馬とブラット・ピットをセレクトの理由?

    監督:同時代の同じ場所で絶対にいない3人にしようって思い、海外の人は1人入れようと思っていました。海外の人ってことは、ハリウッド俳優だろうなって思って考えた時に、ブラピって僕の中ではキムタクっぽい感じで、どの作品においてもブラピがはみでてるみたいな。そういうのが面白いなと思って、で響きも面白いし、じゃあブラピがいいなって。で、時代変えたいなってなった時に、坂本龍馬がすごく好きだったので、というので坂本龍馬にしました。

     

    ―池松さんは龍馬役の大倉孝二さん、ブラピ役の満島真之介さんと過ごす時間が一番多かったと思うんですけど、3人でお芝居を一緒にしている時に、お互い刺激し合ったこととか、作品について話し合ったこととか、印象に残っているエピソードってありますか?

    池松:作品について話すっていうのはあんまりしてないですね。基本的に僕あんまり共演者と喋ったりとかしないので。一応主役なので、多めに差し入れをしたりとか(笑)。今回僕らが演じたのは、ヒロインに対して会おうともしない人たちなんです。恋愛映画って結果がすごくロマンチックなものとして描かれている中で、今回松居監督がやろうしたのは合わない時間こそがロマンチックだというものだと思います。人を想っている時間、例えば、誰かを想いながら歩いた放課後とか。帰り道とか。そういうところに松居監督の面白さってあるんです。 あの3人の10年間で一番かけがいないものは、実は見つめながらも、3人で好きな人を共有していること。それこそがあの人達にとってかけがえのないものだし、ロマンチックなものだったんだと思います。だからか、何かこう直接的なやりとりをしなくとも現場でよりお互いを見つめながら、ざっくり言うと濃い時間を過ごせたんじゃないかと思いってますし、いつも以上に仲良くなりましたね。

     

    ―本作、純恋愛ストーリーだと思いましたか?

    池松:そう思いますよ。何が純恋愛かもわからないですけど、すごく狂っているし、すごく力技のような映画ですけど、その分ものすごく純度の高いというか、純粋なる狂気というか。狂度がでたかなと、個人的には思ってます。

    • (プロフィール)
    • 松居大悟
      1985年生まれ。福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。2012年に『アフロ田中』で長編映画初監督。その後、『スイートプールサイド』『自分の事ばかりで情けなくなるよ』など作品を発表し、『ワンダフルワールドエンド』でベルリン国際映画祭出品、『アズミ・ハルコは行方不明』は東京国際映画祭・ロッテルダム国際映画祭出品。中高生の一ヶ月間を74分ワンカットで撮った『アイスと雨音』が公開中。枠に捉われない作風は国内外から評価が高く、ミュージックビデオ制作やドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズなど活動は多岐に渡る。
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    • 池松壮亮
      1990年7月9日生まれ。福岡県出身。03年トム・クルーズ主演の『ラストサムライ』でデビュー。14 年には、『紙の月』(吉田大八監督)、『愛の渦』(三浦大輔監督)、『海を感じる時』(安藤尋監督)、『ぼくたちの家族』(石井裕也監督)と注目作品に次々と出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。その他の主な出演作に、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(松居大悟監督/13)、『バンクーバーの朝日』(石井裕也監督/14)、『私たちのハァハァ』(松居大悟監督/15)、『劇場版MOZU』(羽住英一郎監督/15)、『海よりもまだ深く』(是枝裕和監督/16)、『無伴奏』(矢崎仁司監督/16)、『セトウツミ』(大森立嗣監督/16)、『DEATH NOTE Light up the NEW world』(佐藤信介監督/16)、『だれかの木琴』(東陽一監督/16)、『永い言い訳』(西川美和監督/16)など。17年には『映画夜空はいつでも最高密度の青色だ』(石井裕也監督)に出演し、第9回TAMA映画賞にて最優秀男優賞、第39回ヨコハマ映画祭にて主演男優賞を受賞した。18年は、本作のほか、『万引き家族』(是枝裕和監督/6月8日公開)、『散り椿』(木村大作監督/9月28日公開)、『斬、』(塚本監督/11月24日公開)などがある。
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      映画「君が君で君だ」
      ●公開中
    • 大好きな子が好きな「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり、自分の名前すら捨て、10年間ただひらすら好きな子を見守ってきた3人の男たちを描く。触れ合うことも告白することもなく、ただ見守り続ける3人が、借金の取り立てから好きな子を守るべく立ち上がるも返り討ちに!そして物語は予想しない方向に発展していく。彼女のため、異常な行動にでる3人だが…。この愛は純情なのか、それとも異常なのか。

      監督/松居大悟
      出演/池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、大倉孝二 他
      配給/ティ・ジョイ
    • ©2018「君が君で君だ」製作委員会