アウトバーンは速度無制限区間があるドイツの高速道路として日本でも有名ですが、今回は速度制限やアウトバーンのルール、注意点などをアウトバーンの歴史も踏まえて紹介したいと思います。また最後に長距離運転を快適にする物も紹介しようと思います。
ドイツに旅行に行くことになった、ドイツに出張になってアウトバーンを使う事になりそうだ、アウトバーンについて知りたい人、興味がある人や、実際にアウトバーンを運転する時はどんなところに注意すれば良いのか、などアウトバーンを一度も運転した事の無い人も是非この記事を見てみてください。
アウトバーンの歴史
アウトバーンは世界最古の高速道路
アウトバーンの歴史は古く、1930年にアドルフヒトラーによって行われた公共事業の一つとして建設がスタートしました。戦時中は軍用自動車道として使われたり、飛行機の滑走路としても使われたこともあります。
建設初期は10万人を超える失業者がドイツ全土から集められ、1日10時間を超える過酷な労働環境の中、キャンプ生活をしながら全て手作業で作られました。
現在、アウトバーンは総延長約13000kmのドイツの無料高速道路で、全体の約50%が速度無制限区間で、世界で最も古い高速道路です。
高速走行の為に作られた道路
アウトバーンはまだ車が珍しく、ドイツで車を持っていたのは75人に1人という極一部の富裕層しか車を持っていなかった1930年当初から、時速160kmで走行する事を想定されて作られました。
勾配も最大で100mあたり4%と緩やかで、カーブも緩やかです。道路の路面もよく整備されていて、繋ぎ目や穴、段差、亀裂なども殆どありません。
アウトバーンの整備で印象的なのが冬です。僕は毎日アウトバーンを利用して通勤しているのですが、冬に雪が降って一般道は積雪したり、凍結した路面コンディションでも、アウトバーンは除雪や融雪剤の散布など、高い整備技術で積雪の影響を殆ど受ける事なく、時速100km近くでいつも通り走行して通勤しました。
多少の積雪なら一般道よりも高速道路の方が安全だと考える事ができるアウトバーンは本当にすごいと思い感心しました。
上記の写真のように、アウトバーンは道幅も広く、カーブもなだらかでとてもに走りやすいです。
アウトバーンによって生まれた技術
アウトバーンでは、高速運転を可能にする為に多くの技術が生まれました。
例えば車の流れを分離する中央分離帯、2車線にして速い車が遅い車を追い越せるようにしたり、カーブの外側を高くして高速の車がカーブを曲がりやすくしたり、高速道路と高速道路を繋ぐインターチェンジなど、今では当たり前の技術もアウトバーンによって開発されました。
フォルクスワーゲンとポルシェ
僕の愛車でもあるフォルクスワーゲンは日本語で「国民車」の意味があります。
1930年代は車はとても高価で一部の富裕層だけが所有していました。その時代にヒトラーによって国民に自動車を普及させる事を目的にした国策企業としてフォルクスワーゲン1937年に創業されました。
自動車を富裕層だけでなく、国民全体に普及させるべく、当時既にレーシングカーの開発で有名だったポルシェ社の創業者フェルディナントポルシェに、ヒトラーが低価格で高性能な国民車の制作を依頼し1938年に完成した車が、フォルクスワーゲン ビートルVW38です。
アウトバーンの標識
ここからは実際にアウトバーンを利用する際に目印になる標識について説明します。
上記写真の緑枠内にある青いマークがアウトバーンのマークです。ちなみに標識ではこの先の交差点を左折すれば4番のアウトバーンがあり、右折すれば17番のアウトバーンがある事を示しています。
上記写真の緑枠は、先の交差点を直進するとアウトバーンがある事を示しています。
この写真を編集してて初めて気が付いたのですが、赤枠内にある機械は速度制限を取締るオービスです。
街中の交差点付近はオービスが多い傾向があるので気をつけてください。
アウトバーンの入り口
上記写真がアウトバーンの入り口になります。
緑枠の標識が、右折すると4番のアウトバーンで,「Chemnitz:ケムニッツ」または「Leipzig:ライプツィヒ」の両方面である事を表しています。
ちなみにアウトバーンとは直接関係無いのですが、この写真で気を付ける事は、空色枠の赤い路側帯です。これは自転車専用レーンです。
自転車専用レーンでは自転車が最優先です。
自転車専用レーンを走る自転車は、たとえ車道を横断するときも減速も一時停止もせずにぶっ飛ばして来ます。車を運転する際、この路側帯を跨ぐ時は特に注意してください。
黄枠はドイツでも進入禁止の標識です。入り口と出口がとても近いので逆走しないように気をつけてください。
下記の写真の緑枠がアウトバーンの入り口の標識で、この先アウトバーンの合流がある事を示しています。
上記の写真の奥の黄枠内は、この先工事区間により時速60km制限であると、示しています。
アウトバーンの注意点とルール
現在、アウトバーンは全体の半分近くの区間が速度無制限区域になっています。この事から、他の高速道路にはないルールや注意点があります。
右車線を走行する
速度無制限区間があるアウトバーンは車線変更に対して厳しいルールがあります。アウトバーンは右車線を走行しなくてはいけません。左車線は追い越し車線のため、前にいる車を追い越す時以外は左車線を走行することは出来ません。逆に右車線から左車線にいる車を追い越すことは禁止されています。
もし右車線走行を守らずに危険行為をした場合、€80(約9600円)の罰金と一点減点の罰則です。
右車線走行のルールから、必然的にトラックや遅い車は右車線を走ることになり、追い越し車線である左車線は常に空いてるということになります。
この空いた左車線をベンツやアウディ、BMWなど高級車が時速200km前後で走ることになります。ただの僕のイメージですが、多くある高級車の中でも、特にアウディがいつもかっ飛ばして走っているイメージです。
アウトバーンでは、常に左車線を空ける。というルールが徹底されています。その為遅い車は遅く走り、速い車は時に速度無制限で走る事ができるというわけです。
右車線を走るのは遅い車とは言いましたが、それでも僕の体感ですが、一般車なら平均120kmくらいのスピードが出ていると思います。
降り口・出口
アウトバーンは無料の高速道路なので、日本の様に料金所がありません。その為目的の降り口を見逃しても、その次で降りて戻ればいいだけの事なので、そんなに降り口を意識する必要も余りないと僕は思います。
降り口の場所は問題ないのですが、問題があるのは降り口の構造です。
僕の経験上アウトバーンの降り口は、減速を促すためか、降り口から一般道までの道が急カーブで道幅が細くなっている場合が多いです。
下記の写真は実際のアウトバーンの降り口の写真です。降り口はドイツ語でAusfhart(アウスファート)と言います。
上記の写真のように、降り口のカーブが急なので注意してください。
例えば、アウトバーンで時速150kmで走っていたのに、降り口にきたらいきなり急カーブの道に突っ込む事になります。怖いです。まるで時速150kmで壁に突っ込むようなものです。
いつも使っている降り口で、道に慣れていれば問題ないのですが、初めて利用する降り口の場合は、降り口の前で最低でも時速80kmまで減速するという事を心掛けています。
あくまで僕の感覚ですが、多くの降り口で時速80kmまで減速したとしても、急カーブがあると時速60kmまで減速する事が多いです。
アウトバーンを利用する際は、降り口に十分気を付けてください。
制限速度
以前はアウトバーン全体が速度無制限でしたが、現在はアウトバーン全体の約半分近くが速度無制限区間です。逆を言えば、全体の約半分の区間には速度制限があります。
自動車の増加、それに伴う交通事故や渋滞も増えた事などから、それらの対策として、現在は多くの区間で速度制限が設けられています。
僕もアウトバーンの制限区域について詳しく説明出来ませんがおおまかに、都市部は80km、急カーブや合流地点、街の周辺区域などは100km、トンネル内は80km、事故多発地帯は120km、工事区間では60kmなど多くの場所に制限速度を示す標識があります。
上記の写真はこの先左車線に寄る事と、時速80km制限になる事を示しています。
下記の写真も速度制限の例ですが、本来ならこの区間は、青枠内の時速120km制限区域ですが、現在は時速80kmです。
僕は、上記の写真のような通常の速度制制限を臨時的に変更してる場合、もしかしたらこの先に工事区間や、工事予定区間のために、車線が減る可能性があるかもしれないと考え注意するようにしています。
街周辺の渋滞が多い区間などでは、時間帯や渋滞の規模によって、制限速度が変化する区間もあります。
ドイツ全土にあるスピード違反を取締るオービスの設置数は日本の設置数の約4倍です。別の記事にも書きましたが、以前僕は、制限速度30kmの一般道を時速35kmで走行して罰金を取られることがあります。制限速度の許容範囲は3kmです。
この様に規則と罰則に厳しい国柄のためもあってか、ドイツ人はしっかり法定速度を守ります。
あくまで僕の感覚ですが、アウトバーンは日本の高速道路に比べて、実勢速度と規制速度に差がありません。これは規制速度が非常によく考えられているためだと思います。
制限速度がある区間の多くは、工事区間や、合流地点、事故多発区域だったりと、速度制限をするだけの理由があるので、ドライバーは規制速度に納得して運転しているからだと思います。僕も安全運転の為にも制限速度は順守する様にしています。
アウトバーンを運転する時は、安全運転のためにも制限速度を順守する事をオススメします。
速度無制限
アウトバーンには速度無制限区間があります。この区間はどれだけスピードを出しても捕まる事はありません。
上記写真の赤枠内が速度無制限を表す標識です。白い丸に5本の黒の斜線が目印です。
時速200kmでも300kmでも好きなスピードで走ることが許可されています。
少し前まではアウトバーン全体が速度無制限だったのですが、近年は郊外など限定された区域だけになりました。
僕も旅行やドライブなどで無制限区域を走ることがありますが、時速160kmで走っても、すぐ背後に付かれてバンバン追い越されます。日本では体験出来ないハイスピードな世界を体験できます。
是非アウトバーンを利用する際は安全に気を付けながら、速度無制限区間の運転を楽しんでください。
アウトバーンを運転するコツ
ここからはアウトバーンを運転する上での僕なりのコツや気を付けている事などを説明しようと思います。
クルーズコントロール
アウトバーンは場所によって時速150kmや200kmは当たり前の道路なので、高い注意力が求められる道路でもあります。
高い注意力を維持するためにはなるべく楽に運転をする必要があります。
そこで僕がアウトバーンの運転でよく使っているのがクルーズコントロールです。
僕が乗っているポロの場合は左手側のウィンカーの所に付いています。
クルーズコントロールの細かい操作方法は、車によって異なる場合があるので事前に操作方法を確認しておくといいでしょう。
クルーズコントロールとは、アクセルを踏まなくてもスピードを維持する機能です。僕は長時間アウトバーンを運転する時はクルーズコントロールを時速120kmに設定して走るようにしています。
時速120kmはトラックや牽引車など遅い車を追い越すには十分な速さで、僕にとっては速すぎず、遅すぎず、バランスの良い速さだと思っています。
アウトバーンを走る際はぜひ試してみてください。
後方確認
車の運転では前方確認が重要ですが、アウトバーンは後方確認もとても重要です。アウトバーンはスピードが速い車が優先です。もし追い越し車線を走っていて、自分の車の後ろに速い車が来たら道を譲らなければいけません。
制限速度区域では制限速度で走るので問題では無いのですが、速度無制限区域では時速160kmで走っていても、いつの間にか後ろにつかれてパッシングされる。なんてこともあります。
アウトバーンの追い越し車線での後続車のパッシングは、「退いてくれ」の意味があるので、パッシングされたら速やかに右車線に避けてください。
アウトバーンにはスピード好きが沢山います。後方確認には十分気を付けて下さい。
上記写真のような、カッコイイ車が物凄いスピードで走り抜けていきます!!
アウトバーンを運転する時にあると便利な物
ここからはいつも僕がアウトバーンを運転する時に準備している物を紹介します。
水
アウトバーンを運転する時も、アウトバーン以外の時も、ヨーロッパを移動する時や旅行する時は僕は必ず水を携帯するようにしています。
日本でも旅行先や観光地などで飲み物を買うと値段が割高な事があると思います。ドイツもサービスエリアや観光地などは水の値段が、通常のスーパーの2〜3倍の値段のところもあります。
値段も気になりますが、値段以前にドイツは夜遅くまで開いているコンビニのようなお店がありません。スーパーは20時〜22時、田舎では19時にしまってしまう所もあります。
また、ドイツには日曜閉店法という法律があって、日曜日はスーパーや薬局など、基本的に殆どの店が営業ができません。
目的地について一息つく時に、飲み物が無いという事を避けるために事前に水を買って準備しておくと安心です。
上記の写真の水は僕が事前にスーパーで購入した物ですが、500mlペットボトル1本で€0.36(約43円)です。6本で€2.16(約258円)になります。
USBソケット
最近の車はUSBコネクタが標準装備されているのですが、僕の車に無かったので最近買いました。実際に使ってみて、とても便利だったので紹介したいと思います。
上記の写真は僕が使っているUSBコネクタです。ホームセンターや車関係の店に売っていると思います。僕はホームセンターで€6(約720円)で買いました。
USBがあると、ナビとして使ったり、ホテルの予約の確認、写真や動画の撮影など、旅行や出張など、必要不可欠なスマホを移動時間に充電ができるのはとても便利です。
今は多くの車でUSBコネクタが標準で装備されていると思うので、是非使ってみてください。
まとめ
今回はアウトバーンについて、建設された当時の歴史から、運転する際の注意点やルール、また長距離運転時にあると便利な物などを紹介しました。
アウトバーンは僕にとって、仕事や旅行など、生活に欠かせない物の1つです。
アウトバーンにはドイツの高い技術力、規則や規律厳しい国柄などドイツの特徴がみて取れます。その為僕の勝手な考えですが、アウトバーンを知る事が、ドイツを知るきっかけになると思います。
ドイツでの生活にとってアウトバーンは欠かす事ができない物です。
皆さんもドイツに来る事があったら是非一度アウトバーン をドライブしてみてください。きっと楽しい思い出になると思います。
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